(この記事の最終更新日は、2020年3月7日です。)
こんにちは!山猫の雑記ブログ管理人の山猫です。(@yamaneko_solar)
本日の話題は、「とろろ汁」 静岡に住んでいる人は知っている人が多いのですが、遠い人は何も知らないと思いますので、なぜ、今日「麦とろ」(※静岡では麦とろの事をとろろ汁と言います。)について書くのか、ざっくりとその経緯からお話します。
今日は、丸子のとろろ汁の紹介だね!
静岡市にある東海道53次 丸子宿(鞠子宿)の「とろろ汁」
丸子宿(鞠子宿)は、東海道の五十三次の20番目の宿場町。現在の地図で場所を確認してみましょう。
徳川家康の最後の居城となった駿府城がある静岡市街から、安倍川を渡ってしばらく行ったところにあるのが、鞠子宿なんです。
この鞠子の次の宿が「岡部宿」。鞠子と岡部の間には、東海道の難所とよばれた宇津ノ谷峠があります。
鞠子宿は東海道五十三次の中では、もっとも小さい宿場で、天保14年(1843年)の記録によると、家の数は211軒、旅籠は24軒であったそうです。
でも、この宿場町は、東海道五十三次の中で他にはない、すごい特徴があったのです。
それが「とろろ」でした。
歌川広重が書いた東海道五十三次の絵は、東海道の各宿場町が書かれているのですが、
鞠子宿の絵には、「とろろ汁」を食べる旅人の姿が描かれているのです。
ちなみに、この絵に出てくる「とろろ屋さん」のモデルは「丁子屋」さんというお店なのですが、実は今も存在しています。
丁子屋さんが営業を開始したのが、慶長元年(1596年)なんです。
関ケ原の戦いが1600年ですから、戦国時代真っただ中にOPENしたレストランという事に・・・。
なんと、創業400年!日本一古いレストランなのです!
もはや意味が分からないね。。
※ こんな古いレストランが他にあるわけない!と思っていたのですが。。。
何ともっと古いレストラン見つけました。。。
1465年に開業した、本家尾張屋(京都)が日本で一番古いレストランだとか。。
ちなみに丁子屋さんの今の姿がこちら
多分何回も改築を繰り返しているとは思うのですが、雰囲気出てます!浮世絵の世界とつながっているようで面白いですね!
丁子屋さんの話は後でゆっくりするとして、なぜ、この場所で、とろろ汁が売られるようになったのか、調べてみました。
とろろ汁の材料は自然薯
皆さんは山芋と聞いてどんな芋を想像するでしょうか?
山芋にはいろいろな種類があるのですが、大きくわけると三種類に分かれるそうです。
それが、、「長芋、ダイジョ、自然薯」です。
最近スーパーで見かけるのは、ほとんどが「長芋」ですね。中国が原産の山芋で、大量に作られているため、手に入りやすく安価です。
ダイジョは、沖縄や台湾原産の山芋で、大型になるものが多いそうです。
自然薯は、日本原産の山芋。
もともとは、山地に自生していたため、自然薯(じねんじょ)と呼ばれるようになりました。
さて、鞠子(丸子)のとろろ汁に使われる山芋は、「自然薯」です。
アルカリ玄武岩が自然薯とベストマッチ!
この、鞠子周辺の土地は、ちょっと珍しい地質なんです。
「アルカリ玄武岩」と呼ばれる地質なのですが、このアルカリ玄武岩。
東海道沿いでは、丸子から岡部に至る高草山周辺にしか存在していないのだそうです。
そして、このアルカリ玄武岩の土地と、自然薯がとても相性が良く、この土地では昔から、自然薯が大量に自生していたとか。。
この、自然薯を使って、「とろろ汁」のお店を出した時から、丸子の「とろろ汁」の歴史が始まったのです!
自然薯のとろろ汁は栄養満点!宇津ノ谷峠と「とろろ汁」の関係
東海道には、いくつも難所と呼ばれている場所がありますが、丸子宿と、岡部宿の間にある宇津ノ谷峠は、かなりの難所だったようです。
今は車であっという間に行き来できてしまいますが、歩いて峠を越えるのは、足腰の強い、昔の人にとっても大変なことだったのだと思います。
とろろは、栄養満点でしかも消化も良いので、これから峠を越える人にとっても、峠を越えてきた人にとっても、貴重な栄養補給源であったのでしょう。
自然薯が自生しやすい土地と、東海道の難所に近い宿場町という二つの要素が絡み合って、鞠子の「とろろ汁」は長らく旅人に愛されてきたのだと思います。
現在の鞠子宿でも、自然薯を使っているの?
いくら、山中に沢山生えているといっても、天然の自然薯を掘ってくるのでは、手間がかかって仕方がありません。
でも、長らく、自然薯の栽培は「不可能」と言われてきたのです。
どのあたりが難しいのか、山猫にはよくわからないのですが、長芋は、畑で簡単に育つのに、自然薯は天然の山中でしか育たないという時代が長く続きました。
現代では、自然薯の栽培方法が確立され、静岡県でもたくさんの農家さんが自然薯栽培に取り組んでいます。
現在の丸子宿のとろろ屋さんの自然薯は、畑で栽培された自然薯を使う事がほとんど。
自然に生えている自然薯を掘るのは、とても大変な事なのです。
鞠子宿の有名な、とろろ店、丁子屋さんでは、県内の契約農家20件から、自然薯を仕入れているそうです。
そういえば、なんで「とろろ汁」には麦飯なの?
今でも、とろろ汁には麦飯が定番ですよね!
ただ、もともとは苦肉の策だった可能性が高いそうです。
というのも、コメはとても貴重品だったので、比較的手に入りやすい雑穀や麦を米に混ぜて食べていたのです。
鞠子のとろろ汁も、麦を混ぜた米にとろろをかけた物を商品として出していたのだと思います。
でも、食感が劣る麦もとろろをかけると、とても美味しい食材に変わるのですよね!
逆に、良いアクセントにもなるし、食味もとろろとよく合って、麦飯ととろろの組み合わせが定番になっていったという説が有力です。
自然薯(自然薯)の主な有効成分と働きについて
自然薯は、食品だけでなく、薬として使われていました。滋養強壮、疲労回復、など優れた効果があるとされています。
・アルギニンの効果:自然薯は昔から強精作用があるといわれていました。
自然薯には、生殖能力の向上に役立つとされるアルギニンが沢山含まれています。
・食物繊維:自然薯は非常に長い食物繊維が豊富に含まれています。
なんと一般的な長芋にくらべて2倍程度の長さがあるそうです。
自然薯の栄養成分表を、五訂日本食品標準成分表より引用します。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 灰分 | 飽和脂肪酸 | 不飽和脂肪酸 | コレステロール | 食物繊維 |
121 | 68.8 | 2.8 | 0.7 | 26.7 | 1 | -g | -g | 0 | 2 |
kcal | g | g | g | g | g | g | |||
ビタミン | |||||||||
カロテン | E | K | B1 | B2 | ナイアシン | B6 | 葉酸 | パントテン酸 | C |
5 | 4.1 | 0 | 0.11 | 0.04 | 0.6 | 0.18 | 29 | 0.67 | 15 |
μg | mg | μg | mg | mg | mg | mg | μg | mg | mg |
無機質 | |||||||||
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | ||||
6mg | 550mg | 10mg | 21mg | 31mg | 0.8mg | ||||
五訂日本食品標準成分表より |
自然薯の100gあたりに含まれる栄養分が表になっています。
現代の鞠子宿 丁子屋さんに行ってみました。
いろいろ、鞠子(丸子)の自然薯について調べていたら、どうしても食べたくなってしまったので、旧丸子宿の老舗。歌川広重も書いた、丁子屋さんに行ってきました。
超老舗だね! お部屋も素敵なんだよ!
この丁子屋さん。
一度行くとわかるのですが、増築に増築を重ねて、正直なところどんな建物なのかさっぱりわからない事になっています。
写真の右の建物も左の建物も丁子屋さんですが、建物の古さが全然ちがいますよね。
右側の建物は古さを感じますが、それがまたいいですよね。なんといっても、創業400年なのですから!
駐車場からお店の入口までに、人力舎や籠が置いてあるコーナーや、お土産が売っているお店があったり、現在は観光客が続々くる人気スポットらしいたたずまいです。
店の入り口につきました!
この建物が一番古そうに見えるのですが、いつ頃の建物なのでしょうかね?
茅葺の素敵な古民家です。
店の中には、とろろをするための道具が展示されていたり、広重の版画が展示されている部屋もあります。
実は、この丁子屋さんの取材は1回ではなく、2回行っています。
一回目に通された部屋は、畳の和室で、正座をして食べたのですが、2回目は、テーブル席が並んだ部屋に通されました。
この部屋には、東海道53次の版画が最初から最後まで飾られています。
なぜか、メニューの横に双眼鏡が・・・
実はこの双眼鏡、版画が良く見えるように置かれているものだとか・・・確かに、天井に近い所に絵が飾られているので、双眼鏡があるとよく見えます。
お客様からのご要望があったのだろうなあ。
メニューに、とろろの食べ方が書いてありました。
ご飯をよそって、とろろをかけて、薬味をかけて、いざ かきこむ!
ざ~ざ~と音をたてて流し込むのがポイントみたいですね!
早速注文してみました。今回は、とろろが食べられればOKだったので、一番安いセットを注文。
それでも、とろろもご飯もたっぷりです。しかも、ご飯はお替り自由!こりゃ天国ですね!
実は、自然薯でつくったとろろはそのままでは粘り気が強すぎて食べることが出来ません。
普通は、みそやしょうゆで伸ばすのですが、丁子屋さんは白みそベースの汁でとろろを伸ばすそうです。
一回、丁子屋さんのとろろを食べると、普段長芋をすって作っている「とろろ」がとても貧弱な物に見えてくるから不思議です。
それくらい、強烈なインパクトがあるおいしいとろろなのでした。。
最後に、箸袋をパチリ。「まりこ」は、丸子と書いたり、鞠子と書いたりしますがどちらも正解です。
最近では丸子と表すことが多いかな?
二回目に訪れたのは、2019年2月2日。丁子屋さんの前にある、蝋梅(ろうばい)の花が満開で、とても美しかったです。
丁子屋さんの基本情報
土日は、めちゃくちゃ混みます。営業開始の11:00に滑り込むようにいくのがポイント。席はかなりの数があるので、開店直後であれば、安定して座れます。
まとめ
以上今回は、なぜ、東海道の丸子宿で、とろろ汁が売られるようになったのか?と400年続くとろろ汁の名店「丁子屋」さんのレビューをお届けしました。
丸子の場合、とろろ汁の原料である自然薯が付近の山で自生していたという事がとっても重大な事だったんですね!
江戸時代から続く味が今も楽しめる、丸子のとろろ汁。食べる価値があると思いますよ!
とにかく美味しいから、是非行ってみてね!
以上最後までお読みいただきありがとうございました!
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