(この記事の最終更新日は、2020年4月10日です。)
こんにちは!山猫の雑記ブログ管理人の山猫です。(@yamaneko_solar)
今回のテーマは、普通のAM/FMラジオよりも広い周波数の電波を受信できる、広帯域無線受信機という物について解説します。
なんだか難しそうな記事だね!
そうだね!かなりマニアックな記事になりそうな気がするよ!
でも、この広帯域無線受信機。防災用ラジオとしてすごく優秀なんだよ!
電波はどのように使われている?
災害時の情報収集ツールとして、山猫が最も重要と考えるのが「ラジオ」
今までも、防災用に適したラジオをいくつか紹介してきました。
普通ラジオと言うと、FMやAMのラジオ放送を受信するものですが、実は、FMやAMラジオ放送が使っている周波数はほんの一部。他の周波数では、全く違う使い方をされているのです。
例を挙げると、
・航空機と、管制塔との通信
・消防無線や、防災無線
・タクシー無線
・列車無線
・アマチュア無線
・携帯電話
など、ラジオ放送のように放送局から送られてくる電波を受信するという使い方の他に、電波を使ってやり取りをするという使い方があります。
無線っていろいろな使い方があるんだね!
これらの、無線通信は、普通のラジオでは受信できないため、あまり馴染みがありませんが、タクシーに乗ると、運転手さんが小さなマイクに向かって何か話しているのを聞いたことがある人も多いのでは?
あれが、タクシー無線と呼ばれる物なのです。
無線通信は、タクシーの他に、航空機や鉄道などでも使われています。
パイロット(運転手)と管制塔(指令所)の間でお話をするために使うのですね。
また、消防や救急、自治体の防災無線でも使われています。
これらの通信は、普通のラジオでは受信できませんが、広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)と呼ばれる受信機であれば、聞くことが出来ました。。
ちなみに聞くだけであれば特に免許は必要ありませんし、航空無線や消防無線を傍受しても法律上も問題ありません。
一般的なラジオ放送は、かなり広い範囲の情報を得るには有効ですが、例えば自分が住んでいる町でどのような被害が起きているのか?を知るには力不足。
その点、消防無線や防災無線にはローカルな情報が次々と入ってきますので、リアルタイムに最新の情報が得られるという素晴らしいメリットがありました。
と、、過去形で書いたのには意味があって、実は今は消防無線も防災無線も聞けなくなっているのです。
(まだ、ギリギリ聞ける市町村はあるかも)なぜかと言うと、消防無線や防災無線は、「デジタル化」されつつあるからです。
ちなみに列車無線もタクシー無線もデジタル化が進んでいます。
デジタル化するとなんで聞けなくなるの?
デジタル化されるとなぜ、聞けなくなるのか?という事を書こうとすると、ものすごく専門的な話になってしまいます。
長く使われてきたアナログ波と比べて何が違うのでしょうか?
ものすごーく簡単に書くと、電波への音の乗せ方が違うのです。
そもそも、電波は音ではないですよね。
その電波に、ある法則で変化を与えて情報を送る。これが、無線の仕組み。
ラジオで言うAM とか FMとか言うものも電波への情報の乗せ方なんですね。
デジタル方式では、この電波に乗せる法則がとても複雑であると同時に、どのような法則で電波に情報を載せるかが一般には公開されていないのです。
ちなみに、携帯電話もこのデジタル方式を使っています。
デジタル方式を使っているおかげで簡単に盗聴する事が出来なくなっているわけです。
でも、消防や防災など、公共性の高い無線は、デジタル化して欲しくなかったですね。
警察無線は情報の秘匿が必要な場合もありそうですが、消防や防災は広く市民が聞ける方式を残してほしかったと思います。
地震などの大災害時は、防災や消防無線の情報がもっともたよりになって、かつ、最新の情報なのですから。。
なぜ、消防や防災無線がデジタル化されたの?
消防や防災などの公共無線が、デジタル化されたのは、「電波の有効利用」が一番の理由。実は、日本上空は電波の過密地帯なのです。
無線が過密地帯って想像できないや!
ラジオや、無線、携帯電話などが、沢山の無線周波数(無線帯域)を使ってしまい、空きがどんどん少なくなってきているのですね。
このままいくと、無線周波数が足りなくなってしまう!
という事で、公共業務無線の周波数が移動させられてしまったのです。
また、一つの通信で広い周波数帯を使ってしまうアナログ無線から、狭い周波数帯で通信が出来るデジタル無線に切り替えざるを得なかったのです。
デジタル方式にすると、もれなく狭い周波数帯で通信できるわけではないのですが・・・
消防無線などの公共業務無線に使われているデジタル方式は、電波の有効利用をするためにかなり特殊な仕様となっていて、人間の声は、それなりに聞こえるけれど、それ以外の音は、まともな音にならないボコーダ方式というものを使っています。
人の声をデジタルに変換する方式は、EL-CELPという方式らしいのですが、山猫には詳細はよくわかりません。。
そういえば、ひと昔前のデジタル携帯電話もそうでしたね。人の声以外は、ふにゃふにゃな音になっていた時代がありました。
最近の携帯電話は人の声も音楽もクリアに聞こえます。いつ頃から変わったのでしょう?
広帯域無線受信機は役に立たなくなったのか?
残念ながら、防災や消防の無線を自由に聞けた時代と比べると、広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)のメリットはだいぶ薄れてきています。(がっくり)
でも、まだまだアナログ無線で運用している業界もあります。
その筆頭が、「航空無線」ですね。
航空無線は、多分デジタル化されません。なぜなら、世界共通の無線方式を使わなくてはいけないから。
世界中の飛行機が国と国の間を飛び回るのですから、国によって無線方式を変える事は出来ません。
では、世界中の飛行機をすべてデジタル化する可能性はないのか?という疑問が出ますが、これはなかなか難しい。
すべての航空機や空港の無線設備を入れ替える必要が出てきますので現実的ではありません。
そもそも、日本は、無線帯域が足りなくなって、公共業務無線をデジタル化しましたが、外国では、ここまで無線帯域を使い切っている国は少ない。
デジタル化する必要がないのです。
また、デジタル特有の問題:聞こえる時は明瞭に聞こえるが、電波が弱くなっていくと突然聞こえなくなる。という問題も航空無線にとっては難しい問題。
アナログ無線の場合は、徐々に音質が悪くなりながらも、ギリギリまで交信できるというメリットがあります。
遠方を飛ぶ航空機との通信は、電波状況が悪い場合もありますので、ギリギリまで通信が可能なアナログ方式が適しているのです。
なので、航空無線に関しては、まだまだ広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)が使用できそうです。
災害時に航空無線を聞いて何になるのか?
という意見も出そうですが、災害時には、管制塔から地上の状況を上空を飛ぶ飛行機に連絡しますし、カンパニーラジオと呼ばれている、航空会社と飛行機との間の通信も聞く事が出来ます。
カンパニーでは、現在の航路や空港の状況がやり取りされているので、災害の規模を知るの役に立ちます。
それに、消防や救急ヘリも上空ではアナログ無線を使って通信をします。
ある程度広域の情報にはなってしまいますが、普通のラジオ放送とは違う情報が発信される可能性は十分にあります。
空港がある程度近い所にある!という方は、広帯域無線受信機を持っていても良いと思います。
ちなみに、自分の家の近くではどの周波数でどんな通信が行われているのか?は周波数帳という本で調べる事が出来ます。
それが、
こんな物だれが買うんだ??という商品ですが、日本上空を飛んでいるあらゆる無線の周波数が書かれている、超マニアックな本です。
まず、この本を買って、自分の家の周りに広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)で聞けそうな通信局がないか探してみてください。
もし、防災に役立ちそうな通信をしている無線局があれば、広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)を買うメリットは十分にありますよ!
消防無線も署活系無線はアナログのまま生き残っている模様
消防無線は、基本的にはデジタル化されたのですが、このデジタル方式の無線送受信機は非常に高価なので、すべてデジタルには置き換わらず、ごく一部はアナログ無線として残っています。
実は、デジタル方式の消防無線の他に「署活系」と呼ばれるアナログの無線方式も使われていて、その通信であれば今後も聞けるという話が。。
また、デジタルの消防無線を、署活系のアナログ無線に変換して、再送信する中継器が、消防車に取り付けられつつあるそうです。
署活系とは、現場の消防士同士が連絡を取るための無線。
現場で使うものの為、無線出力は1Wと非常に小さいのですが、現場の生の声が聴ける可能性があります。
(460MHz帯で1W出力という事は、通信距離は約1kmなので、火災現場の煙が目視できるくらいの距離であれば、通信を拾える可能性があります。※ただし条件次第ですが。。)
現場の消防士さんにとっては、小型軽量のアナログトランシーバが便利という事で、現場では署活系アナログ無線を使って、消防車と指令所の間はデジタル無線を使うという使い分けが進んでいるそうです。
現場の消防士さんが、指令所からの命令を聞くことが出来るように、消防車に、デジタル-アナログ変換器を積んで、指令所からのデジタル無線をアナログに変換して現場の消防士さんの端末に知らせるという事をやろうとしているようです。
ハンディの広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)でどの程度聞こえるかは分からないのですが、事前に調べておくと災害時の情報源になるかもしれません。
各地域の消防でどの周波数を使っているかは、総務省のHPで調べられるらしいのですが、山猫には見つける事ができませんでした。。。
使っている周波数は、466.3500~466.5500MHz(12.5kHzステップ・FMモード)らしいので、消防や救急が出動した時に、このあたりの周波数をスキャンしてみると、何か聞こえてくるかも。
署活系消防無線については、もう少し調べてみたいと思います。
おすすめの広帯域無線受信機(ワイドバンドレシーバー)
あまり、高価な機種は必要ないと思います。
山猫は、航空無線(エアバンド)を聞くのが好きなので、いくつか広帯域無線受信機を持っていますが、
最初に買うのであれば、比較的安価でコンパクト。それでいて受信性能が優れている、アイコムのIC-R6をお勧めします。
ただ、安価なのはよいのですが、一つのボタンにいろいろな機能を割り当てているので、マニュアルが無いと、操作が分からなくなってしまう事も・・・
本体は、超コンパクトで片手に収まります。
ちょっとアンテナがごついですが。。
よく使う周波数を記録する機能が付いているので、周波数表を見ながらあらかじめ入力しておけば、いざと言う時に困りません。
価格も広帯域無線受信機としてはかなり安め。それでも2万円近くしますが。。
以上今回は、ちょっとマニアックな記事になってしまいました。
なるべく簡易に書いたつもりですが、元の話が難しいので簡単に説明するのは難しいですね。。
最後までお読みいただきありがとうございました。
~今回紹介した商品はこちら~
~関連記事はこちら~
コメント
デジタル化で、なくななってしまうのか?と思ってましたがまだまだイケそうですねところでそんなワイドバンドレシーバーの新型の予定等あるのてしょうか?
ダリ那獅さん。コメントありがとうございます。
エアバンド(航空無線)は、今後もアナログで運用されるでしょうから、当面、ワイドバンドレシーバが無くなる事はないと思います。
たまに新製品も出ていますよ!